2012年11月10日土曜日

転職した経緯とか、思いとか。


あ…ありのまま、先月までの数ヶ月間で起こった事を話すぜ!

『俺は勝手にpixivのAndroidアプリを作って公開していたらいつの間にかpixiv社員になっていた』

な…何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何が起こったのかわからなかった…
リ◯ナビNEXTだとかエ◯ジャパンだとか、そんな普通の転職じゃあ断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…


…というわけで、Twitter等ではとっくに公表してますが、先月よりpixivにて勤務しております。
前職は5年半勤務しましたが、前から色々と思っていたこともあり、退職して新たな道を選びました。
最近転職しました系の記事が流行っているようなので、自分も忘れないうちに書いておこう、と思ったわけです。
転職のきっかけ、前職での不満や感じていたこと、いろんな人とのつながりなどなど…
少し長文になります。読みづらい部分も多々あると思いますが、まったり読んで頂ければ。


- 前職でのこと -

前職は某企業のシステム部門の子会社で、主に基幹システムの保守・運用などをしていました。
いろんな所を担当しましたが、例えば勤怠管理とか、会計システムとかです。あとは親会社や関係会社で使うシステムの不具合修正とか、トラブル対応とか。
その仕事内容は、正直「退屈」でしかありませんでした。転職を望むようになった理由にもなるんですが、退屈だった理由はいくつかあります。

1.開発環境が古い
言語はVBメイン。しかも.NETじゃありません。VB6です。あとはVBScriptです。
10年以上前に開発されたシステムをずっと使い続けて、何が正しいかは「動かしてみないとわからない」状態。バージョン管理もろくにされておらず、更新履歴はソース内に残されたコメントのみ。ソースの修正にメモ帳を使っている人もいたぐらいでした。
確かに、基幹システムはそう簡単に新しいものに置き換えることはできません。動かなくなると業務が止まるからです。わかってはいるんですが、このシステムを担当している限り、世の中の技術からは取り残されてしまうのではないか…と、ずっと思っていました。

2.ユーザーからのフィードバックがない
これはだいたいの企業向けシステムにおいて言えることですが、実際に現場で使っている人からの声が開発まで届かないのです。修正依頼や機能追加など、客先のシステム担当者からそういう要望は来るのですが、使っている人の意見が全く来ないわけです。
開発している側でさえ、使いづらいだろうなぁ…と思っているシステムなので、実際に使っているユーザーの皆さんもおそらく同じ事を考えていると思います。
機能的な点にかぎらず、デザインや画面遷移、細かいメッセージ表記など、絶対に不満に思っていることはあると思うんですね。
そういう声がまったくわからないので、開発側も「自分が担当した箇所を使ってみて、どういう感想を持っているんだろうか…」と気になるんですが全然わからないのです。
なので開発に対するモチベーションが上がらず、仕事に対する意欲がどんどん消えて行きました。

3.数年後、会社でどのポジションにいるかのビジョンが見えない
査定面談などで必ず聞かれるのが、「3年後、5年後にどういった仕事をしていると思うか or していたいか」という質問です。
私は前職において、これが全く思いつきませんでした。
私としては、管理者であるより技術者でありたいと思っているため、数年後もメインは開発側であり続けたい、という気持ちが強くありました。しかし、会社はそれを認めてはくれませんでした。
前職では、入社して年数が経つとほとんどがプロジェクト管理側に回り、開発は新人や派遣が行うという、「お決まり」な流れが何となく定着していました。
そのため、私が面談にて「開発を続けたい」と何度言っても、上司からは「そういう会社じゃないのは分かっているだろう?いつまでも開発だと給料増えないぞ」と言われました。
確かに、入社年数が経過するにつれて社員原価が上がっていくと、開発者として使っていくにはコストパフォーマンス的に使いづらくなるというのはわかります。プロフェッショナルのような開発者であればまた別かもしれませんが、前職においてそのような人は一人もいませんでした。

それでも、私は管理するより開発をしたい。でもこの会社にいる限りはそれは無理だし、何よりこのレガシーな開発環境ではそのモチベーションも保てない…と思ってしまい、だんだんと会社を離れることを考えるようになったのです。


- Androidとの出会いから転職との葛藤 -

2010年1月、NexusOneを購入してAndroidの世界に足を踏み入れました。
それまではiPhone3GSを使っており、せっかくだから開発もしてみたいなぁと思ってはいたんですが、当時の私はMacを持っていなかったため、少し敷居が高かったのでなかなか手を出せずにいました。
しかしAndroidならWindowsでも問題なし、開発費用もiPhoneより安い、言語は一応かじったことのあるJava、といったこともあり、これならできるかも…と思って勉強を始めました。
当然、会社の仕事とは全く関係ありません。ですが、仕事でつまらないプログラミングばかりさせられるなら、せめて趣味では楽しんでプログラミングがしたい…と考えていたため、それについては全く気になりませんでした。
独学で本やネットで開発方法を勉強し、微妙な出来ではありましたが、アプリを一から自分で作って公開することができました。
それを見知らぬ人に使ってもらい、その感想が直接自分に届く。とても嬉しかったです。仕事では味わえない快感でした。

その頃、主にTwitter経由でAndroidの開発者のみなさんと交流することが増え、いろいろとお話を聴く機会が増えていきました。
そこで、「この人達は俺とは違う次元に住んでる…」と感じるようになりました。2次元と3次元とかそういうアレではなくて。
もう完全に知識や技術が遥か上にいる人達ばかりなわけです。私と年齢はそれほど違わない…というか私より若い方だってたくさんいるわけで、その人たちがしている技術的な会話に全然ついていけないわけです。

正直ショックでした。

自分は今まで何をやっていたんだろう、仕事の中で開発者として役に立つ技術は身につけられたのだろうか?この先、開発者として生きていくために必要な知識や技術は習得できているのか?この仕事を続けていて開発者として満足できるのか?…いろんなことを考えました。
そして、いつからか「この会社にいると開発者としてダメになる。転職したい」と思うようになりました。
しかし、正直今の最新技術から取り残されてしまった自分を雇ってくれる会社などあるのか?雇ってくれたとして、その会社で仕事をしていけるのか?すぐに干されてしまうのではないか?
そういった不安があり、転職するきっかけが掴めないまま、それから何ヶ月もその会社で働き続けたのです。10年前の技術のまま…。


- 突然の転機、そして転職へ -

2012年5月のある日、突然 @tennetiss さんから「pixivの人と肉食うんですけど、pixivのアプリ作ってる人がいますよと言ったら是非一緒にと言われたのでどうですか」というお誘いがTwitterのDMで届きました。
突然なんだろ…いや確かにpixivビューアのアプリは作ったけど今は完全に放置中だし、何なんだろう…とその時は思いましたが、もしかしたらpixivに来ませんか、とかそういう話だったりするのかなぁ…と、ちょっとだけ考えたりはしていました。
で、6月某日。その時初めて(!)お会いした @tennetiss さんと、pixivの中の人とで焼肉をご馳走になったわけですが、その場で「今pixivではモバイル開発の人員が足りてないんですよ。だから是非一緒に働きませんか」と言われました。
「えっマジでそういう話なの?」という思いがまずありましたが、その一方で、「これはもう二度とないチャンスなんじゃないか、これを逃したらもう転職のチャンスは来ないんじゃないか…」とも思いました。

その後会社を訪問し、とても自由で開放的なオフィス、明るい社員の皆さん、そして何よりみんな楽しそうに仕事をしているのがとても印象的でした。

その後、しばらく悩みました。
これはまさに千載一遇、またとない転職するチャンス。
でも、入社してちゃんと仕事できるのか…置いてかれたりしないのか…。
正直、技術力があるとは自分でも思っていません。知識があるとも思っていません。今やってる仕事が役立つとも思えません。
そんなので大丈夫なのだろうか…と。

それでも、この機会を逃したら次はない、という気持ちのほうが勝りました。
また、それまでは仕事と趣味は分けるべきだ、という考えでしたが、趣味でやった勉強がそのまま仕事に使えるなら、それはとてもいいことなんじゃないか、と思うようになりました。
仕事とプライベートで分けるのではなく、どちらでも使える技術を習得すれば、いろいろとメリットも多いのでは…そう考えるようになりました。

そして、6月中に中途採用に申し込み、書類を提出。
7月中に何度か面接を受け、7月27日、採用通知のメールを受け取りました。
ちょうど土用の丑の日だったため、その日の夜は鰻屋でひとり内定祝いでうな重を食いました。
その後、上司に退職することを報告。あまり強く引き止められなかったのは、上司に何となく悟られていたのかもしれないなぁ…とも思いました。
そして9月末で退職、10月よりpixivで働いております。


- これから -

現在、pixivのAndroidアプリの開発チームで仕事をしています。
今のところ、皆様の目に見える形で私の仕事が反映されている部分はまだないのですが、「中の人」となったからには、よりよいサービスを提供できるよう、全力で取り組んでおります。

前職と圧倒的に違うのは、使っているユーザーからの意見がバンバン来るところ。これはかなりスリリングであり、それでいて面白いところです。
ポジティブな意見、ネガティブな意見。いろんなものがネットのあちこちで見ることができます。それを見て次の開発の意欲が出せるというのはすごくいい流れなんじゃないかと思います。
勤務時間や環境がガラッと変わり、ようやく慣れてきたといった感じです。この先、仕事もプライベートも、自分のやりたいことを続けていけたらいいな…と思います。


- 最後に -

以上、長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
正直、「誘われて転職した」という、転職するという点においては全く参考にならない文章だったと思いますが、おそらく似たような悩みを持ちながら仕事をしている開発者の方はたくさんいるんじゃないかな…と思っています。
そういった方々がこの記事を読んで、自分はどうしたいのか、これから先どうすればいいのか、そういったことを考えるきっかけになっていただければ嬉しく思います。
…上から目線みたいな言い方で申し訳ありませんです。
まだまだへっぽこ開発者です。はい。

それでは、これからもどうぞよろしくお願いします。

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